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国際市場で逢いましょうのKUBOのレビュー・感想・評価

国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)
4.0
いい映画だったな〜。泣かされました。

終戦後から復興期を生き抜く家族の姿を描いた作品と言えば、日本なら「三丁目の夕日」シリーズ(2005〜2012)が思い出されるが、本作が制作されたのが2014年ということになると、少なからず影響があったことは確かだろう。

何より泣かせ方が山崎貴そっくりだ。また、蝶を追いながらカメラが動く演出も、まるでおもちゃの飛行機を追ってカメラの視点が空に舞い上がった「三丁目」の演出を手本にしたようだ。

両作を比較して、戦後の日本と韓国のどこが違うか考えてみれば、やはり一番大きいのは「朝鮮戦争」の存在だろう。冒頭、中国軍の侵攻から逃げるシーンが出てくるが、この混乱で生き別れになった家族、北に残された家族の存在が、本作の、戦後韓国の最大の問題となる。日本だって、もしマッカーサーの動きがもう少し遅かったら北海道にソ連が侵攻していたかもしれない。そうなれば北方領土だけでは済まなかった。日本も韓国と同じく分断されていたかもしれない。

ベトナムが出てくることにも最初「?」と思ったが、憲法9条に守られている日本と違って、韓国軍は「ベトナム戦争」にも従軍していたのだね。隣の国のことなのに、そんなことも知らないでいる自分が情け無い。日本も9条を改正することになれば、今後アメリカの戦争に従軍せざるを得ない日がくるのかもしれない。

日本の映画に比べて、韓国の映画は「涙」が5割増しな気がするが、笑いもいっぱい。また過去パートに若い頃の「現代(ヒュンダイ)」の社長が出てきたり、のちに韓国で成功する歌手やスポーツ選手も出てきて、詳しい人は更に楽しめるのだろう。

現代に生きるおじいちゃんの一生が、幾層にも渡る過去と行ったり来たりしながら描かれる。現代と過去が入れ替わる時の演出もオシャレ。本当に山あり谷ありの人生の末に訪れるラストには、わかっていても泣かされる。良い意味で「山崎貴」的、韓国の「三丁目の夕日」。良い作品です。
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