雨宮はな

トレジャーハンター・クミコの雨宮はなのレビュー・感想・評価

4.0
#なんのために生きてるのかわからなくなった時に観る映画 として紹介してもらった作品。

この映画を観て老婦人を「優しい」と感じた人は、ものすごく幸せな立場にいる人だと思う。
クミコが「常識外れ」で「妄想に生きてる」って思ってる人も。

明らかに支援が必要な対象であって、そのせいでとても生きにくいことがよくわかって辛かった。
彼女の扱いがあらゆるところに表れていて観ているだけで辛い。
手入れのされていない自分、まともな餌をもらえないウサギ、散らかった部屋、強制的にとらされる電話、押し付けられる交友の時間。
会社はわかりやすく描かれていたけど、いちばん辛いのは「自分が自分を全うに扱えていない現状」の表れだった。

アラサー女性がクミコに共感したり、自分と重ねるんじゃない。
かなり高度に引き上げられた「ふつう」が苦痛だと感じる人間や、それに適応できるだけのベースのない人間がクミコを理解できるんだと思う。

ずっと誰かからのフレームや、よそが考える「だいじなもの」におしこめられて生きてきたクミコが、最後に何にもない雪原に自分の足跡だけで道をつくったのを見届けたとき、ようやくほっとできた。
雨宮はな

雨宮はな