半兵衛

恐るべき子供たちの半兵衛のレビュー・感想・評価

恐るべき子供たち(1950年製作の映画)
4.0
お互いが異様な愛を持っていることを把握しつつ、一線を越えないがために他愛のない遊戯に熱中する姉弟のやりとりはに並のサスペンスより緊張感がありハラハラしながら最後まで鑑賞してしまった。そして規範をはみ出した姉の行為がもたらす悲劇的なしかし愛を貫いたような結末には思わず震えが。

それにしてもジャン・コクトー自身が監督をしても良さそうなのに敢えて当時注目を集めていた新進監督のメルヴィルを担当させたのは英断で、実際メルヴィルの凝った映像と緊迫感に満ちた演出がインモラルな神話としての魅力を高めている。

それにしても他人からすればどうってことのない遊びに真剣に熱中する登場人物をとらえた演出は後年のゴダール作品を彷彿とさせ、『勝手にしやがれ』にメルヴィルを出演させたことを考えると彼の作風に親近感を抱いていたのかも。ただ60年代になると映像にこだわりまくり独自の道を歩むメルヴィルとヌーヴェルヴァーグの先端を歩むゴダールは決別していくことになるが。

『海の沈黙』でもインパクトのあったニコール・ステファーヌの男よりも鋭い視線が本作でも効果的に使われていて強い印象を残す。
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