サマータイムブルース

エンドレス・ポエトリーのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)
4.0
「リアリティのダンス」に続くアレハンドロ・ホドロフスキーの自叙伝映画第2弾!!
生まれ故郷トコビージャを後にする前作の終わりから本作の冒頭が繋がっています
家族はサンチャゴに引っ越しています

前作でアレハンドロの少年期を演じたイェレミアス・ハースコヴィッツさんが今回も登場、3年間で身長がだいぶ伸びて大人っぽくなってびっくり

なんか、前作のラストで家族3人は和解してうまくやってるのかと思いきや、父親ハイメ(ブロンティス・ホドロフスキー)がまたもや強権的になって、アレハンドロに医者になるよう強要してきます
父親の店に泥棒に入った少女が落とした一冊の詩集に魅せられ、アレハンドロは父に反発して詩人を目指し家を飛び出します

うーむ、なるほど〜、アレハンドロって、映画監督より、もともと詩人になりたかったのか!!
根っからの芸術家志望なのね
もともと彼の映画制作は寡作で、映画作ってない時は何してんだろーって思ってたら、詩人、演出家、俳優、作家、バンド・デシネ作家、タロット占い、などいろんな顔があるんだ

それでも映画はたくさん作りたかったんだろうけど、資金繰りに苦労したみたい
本作はクラウドファンディングで資金を集めてようやく公開にこぎつけたらしい
機関車やエキストラの一部は巨大なボードに書いたものを後ろで黒子が動かしてたりします
それもアート表現の一部かと思っていたけど、もしかすると資金不足が影響していたのかも
黒子は度々出てきます

「リアリティのダンス」で、イバニェス大統領暗殺を試みて失敗するアナーキストを演じた、アレハンドロの4男アダン・ホドロフスキーが青年期を演じます
彼は前作同様音楽も担当しています
アレハンドロが50歳の時に生まれた子です

アレハンドロがサンチャゴで交友を深めたエンリケ・リンやニカノール・パラは実在する詩人です
アレハンドロの恋人で、赤毛で悪役女子プロレスラーみたいなステラ・ディアス・バリンも実在する詩人です
2人は処女と童貞でした笑

セリフが常にオペラ調だった母親サラ役のパメラ・フローレスが1人2役で演じてます
つまり、母親と恋人を同じ女優さんが演じてたってことです
これには全く気づかなくてびっくり、後からキャスティング見て知りました

ステラが初めてアレハンドロを自分のアパートに連れて行った時、2人はアパートの前に佇んで話はじめます
するとそこに男が現れ、コートの前をガバッと広げると股間には巨大な鳥の模型のようなものが!!
あれきっと、志村けんの“白鳥の湖”のコスチューム見て参考にしてる思うんだけど違うかな笑

「生きろ!!」
アレハンドロ作品なので、ヤバい映像がたくさん含まれています、R18+です、刺激的です
でも全体的に人間讃歌のポジティブな作品だったと思います
黒骸骨や、赤いコスチューム着た人々が入り混じって紙吹雪の中踊り狂うシーンは感動しました

これシリーズ5部まで企画されてるらしい
次、第3部ははパリ時代からメキシコに渡るまでの予定
アレハンドロ現在96歳、頑張ってあと3作撮り切ってほしいものです