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エンドレス・ポエトリーの1000のレビュー・感想・評価

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)
4.3
とてもいい、良質なホドロフスキー。期待以上の何かがあったわけではないが、期待を一切裏切らないあたりは流石。
『リアリティのダンス』から引き続き、観やすい。やはり、"自伝"という否応なしに後ろから前へと向かう動力のおかげか。

このキテレツ大百科は単純に「意味不明だ」とも言えるし、「一周回って好き」とも言えるし、「二週回って気に食わない」とも言えるが、ぼくは三周回ってやっぱり好きです。

個人的には『リアリティのダンス』よりも気に入ったが、それというのも、『エンドレス・ポエトリー』のほうが外向的な映画だからではないか、と思う。幼少期の記憶というのはどうしても内向的で、非言語的なものだが、それを作品にするとどうも自己満足的な感が否めない(『リアリティのダンス』も好きだけど)。他方の『エンドレス・ポエトリー』、詩人を志すアレハンドロの青年期。家族との葛藤、仲間との出会い、初めての恋。こんなクソ分かりやすくて、ゲロ明るい前衛映画が未だかつてあったか、って。たとえ伝わらなくても、誤解されたとしても、「言葉にして伝える」。言葉は、詩は、尊い。

最後のメタ演出なんかは、普通に泣きそうになった。人間、90歳も目前になると、人生に対して怒りも悲しみも何もないんだろうな。フライヤーの「生きろ!生きろ!生きろ!」という煽り文句が、改めて、いい。
あと「復讐のヴァギナ」や「ペンギン野郎」という"強い"言葉たちに魂を持って行かれた。
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