今度夏、美術館と美術館を題材に自体小説を読んだので(原田マハ)、そこを付け足したくて再投稿。
と言うのは、本作を観た時にはまだ美術品の価値みたいなものを過小評価していたのかもしれないから。
名画を取り返す!
「国家の財産を取り戻す!」
そんな強い気持ちへの理解が根底にないと本自体も過小評価してしまいそうだ。
名画を取り返すことがメインなのだが、そこに辿り着くまでの過程が面白い。
ヘレン・ミレンの女性が返還のため、動き出しではみたけれど、
一旦諦める。
もういいわ、と。
ところが、最初は金目当ての若手弁護士が逆に女性を追い抜いて、返還に生活のすべてをかけていく展開。
ここで逆転していくあたりも、よく工夫されていると思った。
それからオーストリア時代の回想を徐々に入れ込むところから、2つ目の見どころに入る。
脱出シーンでハラハラさせて、あえてその場面では別れを描かなかったところなど、構成の妙が光る。
絵画返還ドラマとは別に、主人公のなんとも切ないドラマに泣かされる。
ナチは、戦争は罪深いものだなあ、
芸術を愛でる心は、人間の最も崇高な部分のひとつだ。
それをも踏みにじっていく、戦争の恐ろしさを改めて教えてくれた。