May

ピクニックのMayのネタバレレビュー・内容・結末

ピクニック(1936年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

すごくよかった。
田舎にやってきた陽気な都会人(パリの牛乳屋家族)を青年たちがからかっていて、そのうちの美しい娘アンリエットを釣りでもやるかのように引っ掛けていく物語。
アンリエットは非常に純粋無垢で田舎が持つ豊かな自然に心打たれているのだが、青年がそんなこと関係なしにつけいっていく。その過程はおもしろさもあったが、最後に悲しさがぐっと入り込んでくる。鳴いていたウグイスに感動していたアンリエットは結局、青年を迎え入れてしまうのだ。この悲しさはおそらく“少女の喪失“だろうか。そして、月日が経って再度訪れたアンリエットは青年に再会し、涙を流す。この涙は青年への怒りにもとれるし、自分への戒め、過去への憧憬か。この読み取りの幅を秀逸につくりだしていることがすごい。
冒頭の平穏な水面から雨が降り出し荒れた水面へと変わるのは彼女の心境を見事に表しているようだった。
何事もなかったかのようにタバコを吸っている青年を映して締めるのもすごくいい。

家族それぞれのキャラクターもよくて所々笑いどころもあり、どこか壮大な悲しさを持つ豊かな短編。
May

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