ミュージカルベアー

怪物はささやくのミュージカルベアーのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
4.0
【自分の真実と向き合って乗り越えるということ】

イチイの木の怪物から物語を3つ聞かされ、4つ目に自分の真実の物語を語れ、というストーリー。

重く苦しく逃げ出したくなる様な境遇の主人公、その名演が光る作品。途中で席を立つ人もいましたが、最後まで真正面から向き合って欲しい名作でした。

登山やマラソン、或いは正に人生だって、長いトンネルみたいな耐え難き時間が続く事があると思いますが、だからこそ、そこを抜けると凄く良い汗や涙を流した分、内側から満たされるのだと思います。

でもゴールや光が見える迄の過程は、時に永遠にも思える程の息苦しさが続いたりします。まして看病や介護だったりすると、自分は伴走者かせいぜい沿道の応援者でしかないかもしれません。
そう、実は何も出来ない自分、本当は逃げ出したい自分。

でも、そんな事無いのです。ただ一緒に居てくれただけで救われたなんて、本当によく有ります。

どうしても解決出来ない事、矛盾、仕方がない事、変わってあげられない苦しみや悲しみを抱える力、受身的能力、耐える力が大切なのでは? そこから真の共感とか、更に強い生きる力が生まれてくるのでは?と、最近読んだ本にも通じ、深く胸に沁みました。

文庫本も出てますので、是非! (ToT)