まだまだ元気があった頃のドイツ映画界で、若手たちが素人を使いドキュメンタリータッチで製作した意欲作。日曜日に仕事を忘れてのびのびとする人たちの姿が温かく描かれ、見てるこちらも日曜日を過ごしているような気分に。主役をつとめる四人の男女のエピソードも瑞々しさに溢れ、演出の巧さもあるのだろうがお芝居ではないリアルな生活感も出ている。サイレント映画なので、こういう緩い展開だと眠気に襲われてしまうのに注意(自分も何ヵ所か寝てしまった)。
写真屋さんが街の人々を撮っているときカメラで撮られる人が色んな表情をして撮影されている場面、それぞれが写真に対して色んな表情をするさまが軽快に描かれており面白い。あと湖に泳ぎに行ったり、ボートではなく自転車スタイルで湖上を楽しんだりと1930年頃のドイツの風俗も詳細に描かれているのも楽しい。それとドイツ人にはビールとソーセージがやはり欠かせないのね。
寝ている女性のショットや、水着に着替えている女性を男性が手伝うシーンなどこの時代にしては珍しくエロチックな描写が多いのが印象的。アメリカや日本がこの当時そういう性的描写を一切やっていないことを考えると、ヨーロッパは結構そういうのに緩かったのか。
こうした新たな映画の波がナチス台頭により失われ、この映画の製作に携わったロバート・シオドマク、フレッド・ジンネマン、エドガー・G・ウルマー、ビリー・ワイルダーといったスタッフがハリウッドに招かれアメリカ映画界をより豊かにしていったというのが皮肉。
月曜日の到来を感じさせる後半はちょっと寂しくなる。