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スーパーフライのBONのレビュー・感想・評価

スーパーフライ(1972年製作の映画)
3.8
パンフレットによれば、監督のゴードン・パークス・ジュニアは、映画監督の父の助手や、『ゴッド・ファーザー』(1972)の製作を手伝いながら、 映画の勉強をしてきた愛すべき映画キチガイとのこと。

グッとイカす車に乗り、コカイン売買の組織を持つバツグンのダテ男、通称“牧師” と呼ばれる男は、金にも女にも不自由しない全てがスーパーな男。言うことなしの毎日だが、ハーレムを抜け出して恋人と自由な人生を生きるために一大作戦を立てる物語。

製作・監督・脚本・主演など、初めて映画を作る集団で資金もあまりなかったため、キャストスタッフはほぼ無給。カメラをハーレムに持ち込み、実在のギャングのボスに縄張り内での撮影許可を得て、極寒の中作品の大半を占める街頭ロケを敢行し、情熱と努力が実を結んだブラックムービーの名作。

何といってもスコアが傑作。ソウル界のレジェンド、元インプレッションのカーティス・メイフィールドが初めて映画のスコアを書き、自身も特別出演。全米ヒットチャートの第1位にランクし一大旋風を巻き起こしたこの作品、魅力の大部分をカーティスの音楽が占めている。ソウルフルなリズム&ブルースが映像をより楽しくしている。私的に『Pusherman』や『super fly』が好き。

クールなコカインの売人を演じ、スタイルの良い肢体に長いロングコートを身に纏いヒールを蹴って歩く禿頭のロン・オニールが超絶カッコ良かった。

ネオンの影に廃れたアメリカン・ドリームの皮肉や差別を描き、ブラック・シネマ特有のグルーヴ感溢れウキウキするような楽しさに満ちた映画だった。
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