宙2秒

グレートウォールの宙2秒のレビュー・感想・評価

グレートウォール(2016年製作の映画)
3.0
モンゴル人がゾンビにされてる…
そんな噂を聞いていただけに興味津々だった映画。

じつはゾンビではなく饕餮(とうてつ)という中国の伝説上の怪物だったのです。
登場は意外と早く、序盤から大群で襲来。
それが饕餮と説明されるのはその後なので、恐竜のような獣がわんさか出てきた時には、テンションがダダ下がりに。
もう観るのやめよっかなあと一瞬思ったくらいでした。
でも、クリーチャーが殷の青銅器によくみかけるデザインだったので、ん?!となって、もちこたえた。
そう、あの青銅器の模様こそ饕餮をモチーフにしたものなのです。

しかし、これはいつの物語なんだ?

後で宋と判り、火薬や方位磁石の発明などは確かに宋代からなので、一応まったくの並行世界ではないようです。
でもかなり間違っている部分もある。

万里の長城はなぜ造られたのか?
北方民族の侵入を防ぐためだけではなかった!という宣伝文句に難癖つけるようだが、物語の舞台となる宋代には殆ど長城防衛は行われていないんですよ。

さらに、マット・デイモン演じるウィリアムの設定自体が謎。
欧州の傭兵というだけで、どこの人なのか説明がありません。
英語を喋るのでイギリス人なのでしょうか?

金と名誉のために生きていたウィリアムは、信念で団結する中国人に開眼させられ、人類の危機に立ち向かうヒーローになりますが、ウィリアム以外の白人は基本的にコソドロです。
この映画で中国人に悪人は一人もいませんし、中国は外敵から侵略される立場なので、現代社会の中国とのギャップを考えると、なかなか面白いと思います。

中国資本のプロパガンダ映画という点を差し引けば、わかりやすくて映像的にもそれなりに楽しめるのではないでしょうか。
むしろ私的には、プロパガンダな部分が逆に面白かったです。
マット・デイモンも利用されたもんだな。

しかし、ゾンビじゃなくて良かった。
ワールドウォーZの二の舞にならずに済んだ。
宙2秒

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