Bahun

ワンダーウーマンのBahunのネタバレレビュー・内容・結末

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

[退屈になるくらいヒーローモノとして王道、それって最高では?]

観た後時間が経ってからよくよく考えてみて評価が変わる映画は結構ある。アバターとかジブリとかスターウォーズとか、映像で魅せてくるタイプの映画は映画館で興奮して細部を見逃してしまう。
これは逆。高校生の時に鑑賞して、当時は「なんか王道のアメコミ映画って感じだなぁ〜、ほぼキャプテンアメリカじゃねぇか。主人公かっこいいし、アクションも最高だけどさぁ。」ぐらいの気持ちで見ていたんだけど、この「王道」ってすごいことだったんじゃないかと。

この映画、とにかく男性の僕からみたら前に見た要素ばかり。まず、空から後に重要になるキャラクターが落ちてくる。そしてドイツと戦っている。アメリカンコミックスのヒーローとドイツ軍(特にナチ)との戦いの歴史はマジで日本国憲法の歴史より長く、バットマンもスーパーマンもキャプテンアメリカもナチと戦っている。映画のヒーローでもインディー・ジョーンズなんかはナチと戦っていたし、ヒーローとドイツ軍が戦うのってジャパニーズ・スモーくらいアメリカにおいて伝統的だ。
あとは、スーパーパワーで戦場で無双するのとか、ラストバトルがクソデカCGバトルだったりとか、とにかくアメコミ映画の王道な起承転結、王道な要素が詰まっている。ほぼキャプテンアメリカじゃないの。

しかも、ワンダーウーマンというのはスーパーマンとかと同じ「強い存在として、ただ在る」というタイプの、クリスチャン・ガキが理解しやすいヒロインだ。実際、ワンダーウーマンとかスーパーマンとかが属するDCコミックスは想定年齢層が低めであり、その分設定もシンプル。むしろさっきから王道の例えとして出しているキャプテンアメリカの方が変身あり、冷凍睡眠ありで出自にひねりがある。ワンダーウーマンというのはアメリカにおける超超王道型のヒーローなのだ。

ここまで長々と何が言いたくてこんなことを語ってきたかと言うと、「ここまで王道で、子供でもわかるくらいシンプルで、一度見たら細かいところは翌日には忘れているような出来の映画のスーパーヒーローが女性だったことなんて、これが初めてだったんじゃないか」ってこと。

アクション映画、ドラマにおいて、「女性が主人公」という要素は実験的な部分があり(というより在ると考えられ)、実験的な映画やドラマの中についでのように放り込まれていることが多いと思っている。パッと思いついただけでもスター・ウォーズの7、8、9とか、ジョジョ6部とか、シーハルクとか。それ故、悪いのは映画の他の実験的な要素なのに、「女性主人公モノは…」と陰口を叩かれることも多い。

しかし本作は、マジで退屈なくらい王道をやってのけた。「そうそう、こういうのこういうの」と言いながら高校生のバフン少年は最後まで見たのだ。女性が王道なコミック映画の主役をやれることをしっかりと見せてくれる映画って最高だし、それが子供でも観れるものならなおのこと良いよね、と思い今になってレビューを書きたくなったわけです。女性の映画進出ってまだその程度なのかよってことは置いておいてもね。
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