MasaichiYaguchi

ワンダーウーマンのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)
4.0
1941年にDCコミックスに初登場した女性のスーパーヒーローであるワンダーウーマンは、近年の映画だと「バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生」に登場し、その存在を印象付けたが、彼女を主役に据えた本作をその延長線上の映画だと思って観ると、嬉しく裏切られる。
女性だけの国があるパラダイス島でプリンセスとして育てられたダイアナが、島の近くに海に不時着したパイロットのスティーブと出会ったことで始まる世界を救う為に戦いは、単なるアメコミの枠を越えて心に訴えるものがある。
ダイアナが身を投じるのは第二次世界大戦なのだが、出版社はちがうが、マーベル・コミックスにアメリカ軍で同じように戦ったヒーローでキャプテン・アメリカがいる。
両者とも防御用や武器としてシールドを持ち、銃火器ではなく、自らの強靭な肉体でナチス・ドイツと戦うなど共通点が多いが、違いもある。
キャプテン・アメリカはネーミングとコスチュームから分かるように、アメリカの「自由・平等・博愛」の三原則とそこに生きる人々の為という“大義名分”で戦っているのに対し、ワンダーウーマンはアメリカとかイギリスとかの枠組みを越え、正義の為だけでなく、思いやりや愛の為に戦っているように思う。
そして、この作品で描かれたワンダーウーマンは、今までの美しいがマッチョなアマゾン族のプリンセスというイメージから、閉ざされた女だけの世界で育ってきたので、男だけでなくパラダイス島以外の世界を知らない無垢な、初々しい女性として描かれている。
勿論、無敵のスーパーヒーローとしての高い身体能力や強靭さを、パワフルでキレのあるアクションシーンで炸裂させている。
それにしてもワンダーウーマンを演じている主演のガル・ガドットが、この人の為にこの役柄があったのではないかと思う程嵌っている。
ミス・イスラエルで「世界で最も美しい顔」の2位という美貌を持ち、兵役経験もあるという、この役に対して“パーフェクト”と言っていい女優なのだが、決してクールビューティではなく、何処かチャーミングで親近感を覚えてしまう。
監督がパティ・ジェンキンスという女性ということもあり、このガル・ガドットのそういう魅力を引き出し、男性監督だとあざとく媚を売りそうなところも、ワンダーウーマンの“天然ぶり”を随所に織り交ぜて“自然体”女性ヒーローとして描いている。
ワンダーウーマンが再登場する「ジャスティス・リーグ」が11月23日に公開されることが決定しているが、個人的にはまた単独で登場する「ワンダーウーマン」の続編を観てみたい。