このレビューはネタバレを含みます
アルチンボルドのあの絵みたいな人がもみくちゃになったり分裂したりを馬飛びするみたいに繰り返してゆく「永遠の対話」。粘土製の、向かい合う人間二人の触れ合いを描いた「情熱的な対話」。粘土製の頭のおっさんが口からパンとか靴とか歯ブラシを出して組み合わせあう「不毛な対話」。以上の三本で構成された短編作品。
三作品に共通する「対話」とはつまり人と人がどんな形であれ接触して何らかを交わしあうことで、三篇はそれを異なる形で表している。三つとも良いけど、「情熱的な対話」の、人間が肉体的に触れ合う感触を粘土という脆い素材を以て増幅して描いてる感じがとりわけよいと思った。あとは「不毛な対話」の、組み合わせがもつれ始めるところも好き。