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リリーのすべてのesewのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.0
2020.2/23 09

せめぎ合い、2度と交差することのないお互いの幸せの形を正面から描いてるところが傑作だと思う。おさまり方が永遠にない状態に置かれていく妻と、おさまり方が永遠にない状態に置かれてきた夫。

悲劇から幸福へと進んでいくアイナー(≒リリー)と幸福から悲劇へと進むことに抗えないゲルダ。

脚本の中で不自然ではなく同性愛とトランスジェンダーの違いがわかるようになっているし、トランスジェンダーの捉え方も異性愛者であるゲルダとの真に迫った会話の中で自然に理解できるようになっている。

異性愛者である既婚女性ゲルダが経験していく困難さもきちんと描写されていてアイナーにもリリーにもゲルダにも感情移入して自分に引き寄せて考えることが出来る構成の脚本は卓越していた。ぜひ多くの人に見てほしい。
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