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リリーのすべてのまぴおのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
3.8
【ただ一人の人間】

世界で初めて性同一障害で性転換手術を行った人間の物語。

例えば今後トランスジェンダーの俳優が
男性から女優に性転換した場合
その俳優が女優としてオスカーを受賞したらまた
歴史の転換期になるのだろうか?

そもそも男優賞受賞であったり女優賞受賞である枠付さえも
今後みなされていく形になるのだろうか?

そこには男も女もなくただ一人の人間に栄誉を与えられる形

昨今はクロスジェンダーといった男性でもなく女性でもない
中間層を主張する人たちも出てきてる。

男性らしいであったり女性らしさであるものが
必ずしも必要ではないという流れ。

それは1人の人間であるという主張。


この映画を観たあと少し調べてみたのですがやはり史実は
そこそこ脚色しているようですね。
物語の真実はここで語られているほど美しくもないし強い絆があったわけでもない。

そこでふと疑問が湧き上がるんですよ。
性同一障害である女性の人格であるリリーが自分は自分であると主張したように
その史実をありのままに描かないことは
つまり嘘を固めてしまうのは彼女の意に反していないのか?

そしてアイナーのもう一つ女性の人格であるリリーを支えたとされる妻ゲルデの意思は?一方が主張を押し通せば一方は我慢することになる。

リリーは生涯、意思を通すことにより幸せを全うしたがゲルデは?

絵画と見間違うような映像美と構図は息を飲むほどである。
しかし裏を返せばそれは監督自身の都合のいい視点でしかみることをも意味しているように思えた。

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