りっく

リリーのすべてのりっくのレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.3
あまりにも繊細で美しく、絵作りも絵画的で目の離せない作品であり、エディレッドメインのまるでバレエのように体の先端まで神経を行き届かせた繊細な演技と、そんな彼を見守り支え続ける妻の葛藤と苦悩と愛に心を打たれる。

男から女になるのではない。神様が女として自分を誕生させてくれた。だが肉体は男として生まれてしまった。その過ちを手術で治すだけだと彼は言う。そんな彼が女性の所作を学ぶために、覗き穴から裸体の女性の官能的な仕草を鏡越しに真似て射精してしまう場面の痛切さは身が引き裂かれる。

そして何と言ってもアリシアビキャンデルの演技が素晴らしい。女性に目覚めたきっかけを作り、夫の絵で画家として成功し、そして何故自分は夫と生活しているのか分からなくなりながらも、それでもリリーも含めて丸ごと愛するという懐の深さと力強い瞳が見事。
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