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あっちゃんのhi1oakiのレビュー・感想・評価

あっちゃん(2015年製作の映画)
3.8
バンドブームの真っ只中、ネットもMTVも無い環境で、雑誌よりもダイレクトに音楽をインプットできたのがTVK(テレビ神奈川)で垂れ流されるミュージックビデオ。そのおかげでNEW ROTEeKAの“ア・イ・キ・タ”なんかは自然と耳に馴染んでたけど、特に聴き込むことも無かった。
それでも近年になって吉田豪等から伝え聞くニューロティカの“あっちゃん”の人間性に興味を持ってたりした。
この作品は必要以上に泣かせようとしない。ファーストカットであるライブでのMCのシーンが明けてからの超インパクトあるあっちゃんのオフショット。ニューロティカというバンドのヴォーカリストとしての側面だけ切り取っていたら、人に好かれててかっこいい人の話なのに、菓子屋として母親を支えて働く姿と交互に見せることで、ギャップというよりは“どちらも日常”という地続きなリアルさを持った唯一無二のロックドキュメンタリーになってる。
ロック然とした虚勢を張りつつも簡単に弱い部分もさらけ出す人懐っこさ、やり続ける強さと自己評価の低さ、ステージでのヒーロー感と菓子屋のおっちゃん感。ステレオタイプなロックスターの虚像ではなく、近所の知り合いがオーディエンスを沸かせている誇らしさみたいなものを見せてくれる。
多数の著名人から寄せられたリスペクトの言葉よりも、あっちゃんが酔っ払ってモゴモゴ言っててほぼ何言ってるかわからない終盤にグッときた。
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