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ザ・タワーのhi1oakiのレビュー・感想・評価

ザ・タワー(2022年製作の映画)
3.8
ゾンビ映画と同じで、状況を提示しつつその世界で、人間がどう生きるかというのが主題。
ゾンビ映画と言っても『バイオハザード』みたいに最終的にボスキャラと対決!みたいなやつじゃなくて、ロメロ作品とか『ウォーキング・デッド』のような災害のメタファーとしてのゾンビね。

この作品は『はてしない物語』の“虚無”や『風の谷のナウシカ』の“腐海”のごとく、人間の住む領域を飲み込むブラックホールのような闇がその“状況”。
集合住宅内で描かれる社会システムやちょっとした産業(畜産や農業)の描写が面白いのは韓国映画『コンクリート・ユートピア』に近いモノがある。まぁその内容は少し無理はあるけど、SFだからいいかってなる。
そもそもずっと電気が通ってるっていうのがもう科学というよりオカルトか夢かって感じにはなる。

そんな“状況”に、人種間の軋轢やカルトの勃興等、貪欲に“世界の縮図”的な事を盛り込んでくる。
登場人物が非常に多く、序盤は髪型等でわかりやすくしてくれているんだけど、時間が進むごとにその描き方が雑になってくる。とはいえそれは“わかりづらい”とかではなく当人達もどうでもよくなっている“疲弊”を表現しているんじゃないかと勝手にイイ方に取れちゃったりもする。
それくらいには楽しんだ。

“槍”のシーンは本当に驚いた。
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