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エレナ(原題)のプレコップのレビュー・感想・評価

エレナ(原題)(2012年製作の映画)
4.1
冷たいニューヨークの景色とノスタルジックなホームビデオに続くはアヴァンギャルドな映像の波

「ブラジル-消えゆく民主主義-」のペトラ・コスタが頭角を表した2012年作のドキュメンタリー。孤独に押しつぶされた姉・エレナを追想する。

映画俳優を目指してニューヨークに発った姉を追いかける妹・ペトラ。エレナの生涯と彼女の家族や友人の感情の動きを記録するドキュメンタリー映画として進むが、終盤は一転してそれまで軽く挟まっていたアヴァンギャルドな映像が押し寄せてくる。これはエレナを追い越して(死を乗り越えて)ペトラが自らの美意識をコスタ家にとって因縁の「映画」というメディアにぶつける物語でもあったのだった。

「aftersun」にも通じる、肉親を喪失した先の思い出や記憶の中の美しさが見事に映し出された作品。
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