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バビロンのhiのレビュー・感想・評価

バビロン(1980年製作の映画)
4.3
衝撃的な内容ゆえに当時公開されなかった、というだけあって、ポスターだけみるとレゲエ青春音楽映画と思いきや、そんな柔な内容ではなかった。。。

英国の中での彼らの立ち位置がいかに肩身の狭いものだったのかがとても鮮烈に描かれており、人を肌の色や生まれで分断してしてきた歴史に、終わりを告げられないこのカルマの悲惨さ、差別、格差の醜悪さがが描かれています。

しかしですね、そんなこというと説教じみただけの映画のようにおもうかもしれませんが、とにかくブルーをはじめとする仲間たちがとにかく個性豊かでガレージで騒ぎたおす青春感とかボロボロの服でも堂々と背筋を伸ばして街を歩く姿は、女性も男性もファッションとかも含めて最高でしかないんですよね〜。それは、彼らが誇りを捨てずにアイデンティティを掲げ続けてることに起因しているに他ならないカッコよさなんですよ。。

そんな彼らが、ガレージを破壊されたところから、物語は暗雲につつまれていくのですが、大事なものを奪われ、壊れ、荒んでいくブルーが、煙とリズムに身を委ね、盲信的に救いを求めていく過程は、なんとも言えぬ苦しさがあり、同時に何かに突き動かされていく過程の高揚感はこの映画のクライマックスであるとともに他の映画にはない凄みと迫力があります。

レゲエの中での良く出てくる
"ラスタファーライ" "ザイオン""バビロン"
この我々日本人には馴染みのない言葉をこの映画を通してみると理解に繋がりやすいのではと思います。何故彼らはザイオンを目指すのか、被差別者である労働者たちにおけるラスタファリアニズムとはなんなのか。

レゲエってものが、10代の時はボブマーリーしか知らないレベルだったのですが、近年のBLMしかりマリファナ文化からみる世界の白人至上主義の縮図が叫ばれ、人種差別が日本でも話題に出るようになったおかげで、歴史的な意味でも、感覚的にも、今この映画がはまる時代になってきているようにも思います。
ダブのリズムで踊ってキマッてないとやってらんないぜ!ていう、若者の精神的性、叫びが力強く描かれている様は心にズシンとくるものでした。

名作すぎましたわ。
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