Np2

バビロンのNp2のネタバレレビュー・内容・結末

バビロン(1980年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「夜中に騒ぐのが悪い」と書いてるひとを見かけたが、作中の言葉を借りるなら「究極に無知」だね。
「じゃあ今日から人種差別をやめましょう!」と宣言したところで、黒人たちの問題がすべて即時解決するわけじゃない。もっと差別的な時代を生きた黒人の親たちは、低賃金の職にしか就けない。その子供たちも貧困のため質の良い教育を受けられず、安い給料でこき使われて、日々の鬱憤を発散するために音楽とドラッグに傾倒していく。その子供の子供も、差別が生んだ貧困のループから逃れられない。言語化できない感情は、解決できない問題は恋人への八つ当たりを引き起こし、仲間割れを招き、暴力と犯罪へと彼らを走らせる。彼らは高級車を修理するけど、自分たちがプジョーに乗ることは無い。苦しい環境が夜中に爆音でレゲエ聴いていい理由にはならない、それはわかる、でも黒人の生きる環境を作ったのが一体誰なのか問いたい。レイシズムが世代を超えて落とす影について考慮したことが一度でもあるのか、問いたい。
その負のループのなかで、音楽は最後の希望になる。フロアを満たす音楽はどうにもならない悔しさを忘れさせ、ビートに言葉を乗せれば、彼らが社会と戦うための武器になる。
「現金に体を張れ」並にクールで、絶望的なThe End。もう観れないかもしれないから、行けてよかった。
Np2

Np2