もりもり

hide 50th anniversary FILM 「JUNK STORY」のもりもりのレビュー・感想・評価

3.7
赤毛の変な頭の中まで誰に分かってくれとは言わない

当時小学5年生だった。
敬虔なキリスト教徒の母が、悪魔の使いだと吐き捨てた彼をTVで見て、自分も同じように嫌悪の眼差しで見ようとしていた。
良くも悪くも記憶に残ることとなった。

無意識のうちに避けていたものは、意識せずとも意識することとなり、自らの意志で選択できる歳になった時に、気付いたら聴いていた。

世に出された1曲1曲に、儚さと喪失感を感じるのは、破天荒で短命な人生がそう思わせるのか。
はたまた彼の生き様そのものがロックだからなのか。

死人に口なしとはよく言ったもので、
この世にいない人間を取り上げて、縁のある人に聞けば、醜聞も美談に変わるだろうと訝りながらも、
今まで知られることのなかった人物像が具現化されていく展開に、
気付けば食い入るように見入ってしまった。

弟の気持ちを考えると辛いしか出てこないものの、それぞれの思い出を胸に皆が前に進んでいくラストに、もう涙腺ゆるゆる。