このレビューはネタバレを含みます
遅ればせながら字幕２Ｄ、吹き替え２Ｄで計二回鑑賞してきました。
昨年の「フォースの覚醒」がとても面白かったので非常に楽しみにしていました。
多くの方がご指摘の通り前半部分の話運びの鈍重さや描写不足の側面はありますが、個人的にはそれを補って有り余る出来でとても面白かったです！
一番良かったのはスピンオフとしての意義をこれ以上ないくらい果たしているところです。
否定派にしろ肯定派にしろ今作を観たあと、誰もがEP4を見直したくなると思います。明るくSF活劇として楽しい作品だったEP4の背景には、語られることのない名もなき英雄たちの姿があり、選ばれた者だけの話だったオリジナルに深みを与えている。
名もなき英雄たちが命を賭して繋げた思いが受け継がれ世界を救っていくと考えながらオリジナルを見直すと感慨深く、スピンオフとして最高の役割を全うしていると思います。これが出来ているだけで本作は大成功です。
スターデストロイヤーや宇宙空間を出来るだけミニチュアで表現するところもリスペクトが感じられ、オーバースペックな技術を見せつけまくって失敗したプリクエルの反省点も生かされています。
スピンオフアニメの「クローン・ウォーズ」という作品でジェダイが登場せず名もなきクローンたちが大活躍する回が大好きなのですが、今作はそれをよりスケールアップし実写にトレースできているので自分の好みにバッチリハマってしまいました。
またSWといえばライトセイバーと思っているファンには物足りなく感じるであろうアクションシーンもシリーズで一番好きかもしれないくらい良かったです。
個人的にはSWといえばブラスターと思っていて、赤と緑のレーザーがビュンビュン飛び交うのが好きだし、ライトセイバーが無いことで戦場の臨場感とリアリティが一番感じられました。
戦場がビーチだったのもフレッシュでノルマンディー感出てたし、何より見やすく美しかった！SWらしさそのままに新しい魅力を感じることが出来ました。
ドニー・イェンのアクションも勿論良かったですよ！盲目だからこそフォースを信じていて、その騎士道精神が相棒に継承されていくところなんかグッときました。
プリクエルで出て来たその辺のジェダイより明らかに強いのは笑いましたがｗ
その他のローグ・ワンのメンバーも各々に見せ場があり熱かったですね。特に好きなのはボーディの「ゲイレン、やったよ」で散っていくところです。その前にボーディが突撃するのを命がけで援護してやられてしまう味方兵士のシーンも良かったです。
最後のベイダー卿無双のシーンにしろ、今作で名前が出ないモブキャラが誰一人欠けても成し得なかった命のリレーがあったからこそオリジナル反乱軍の勝利があったんだと思うとその重みが感じられジーンとしました。
批判されている前半の退屈さは概ねその通りだと思いますが、二回目観ると分かりにくかった部分が解消され割と納得出来ました。
ただやっぱり描写不足なところも多いのは事実でしたね。
「クローン・ウォーズ」からの逆輸入キャラであるソウ・ゲレラはぶっちゃけただの気難しいおじさんで面倒くさい。ボーディをタコで尋問する意味も分からないし、「腑抜けになるぞ！」と言う割にはボーディが腑抜けになってたのは少しの間だけで二回観ても良くわかりませんでした。
ソウは今作だとただの中継地点でしかなく、逆輸入キャラならもっと魅力的に描いて欲しかったですね。フォレスト・ウィテカーの人間力は認めますが。
あと帝国軍による寺院襲撃シーンがないのはダメだと思いました。
今作だとキャシアンによる偵察シーンとセリフによる説明だけで非常に分かりづらい。カイバークリスタル強奪はちゃんと画で見せて欲しいし、チアルートとベイズが反乱軍に加担する理由付けがより分かりやすくなったと思うのでここは残念でしたね。
あと「フォースの覚醒」であったレイとフィン、フィンとポーが一瞬にして意気投合するような明るさは無く、仲間と打ち解けあう描写は薄かったですね。暗い作風を好む監督の作家性の現れでしょうが、微妙に感じてしまう要素かもしれませんね。
欠点がない作品ではありませんが、スピンオフとしてこれ以上ないくらい良い出来だし、自分の好みにバッチリハマった作品でした。
