シネオ

人生の約束のシネオのレビュー・感想・評価

人生の約束(2016年製作の映画)
2.0
とにかく、劇場予告編で観たくなりました。ドライで自信家なIT企業の社長が、クビにした相棒の死をきっかけに、本当の自分を取り戻していく。ストーリーも好きなタイプだし、贅沢な豪華キャストに日本の祭りや富山の美しい風景...。
「失くしてから気づくことばっかりやな、人生は...」西田敏行さんの町長が、印象的につぶやくこのセリフ。今まで数多くの映画やドラマで扱われてきたけど、間違いのない安定したテーマ。きっと大きな感動をくれるのでしょう。かなりの期待で、劇場へ。


しかし映画は、散漫とした内容でした。脚本の適当さと、ディテールのツメの甘さでしょうか。いいセリフもあるのですが、それを補完する流れが無視されて、上っ面で物語が流れていきます。ネタバレするから書けませんが、いろいろなところに??が落ちていて、おいおいとツッコミたくなる行動の数々。登場人物が多すぎて、全員の背景が置き去りにされています。主人公が改心するのもあっという間で、何より人物像が薄い。会社存続のピンチにも動じないで、友人の田舎で知らない人と酒で騒いでる。こんな人いませんよね(笑)

地方の絆やお祭りにかける意気込みも、まぁそうなんだろうなぁと描かれています。お祭り好きな人や温かい故郷がある人、田舎のふれあいに憧れている人には、とても良い設定なのでしょうね。けど都会育ちの僕は、全く感情移入ができなかったです。なんで町のプライドやお祭りがそんなに大事なのか。それがわからない人は、入り込めません。やたらと挿入される北陸新幹線と長すぎるお祭りシーンに、PRな策略もチラチラします(笑)

だけど、名優たちの演技には迫力がありましたよ。
竹野内豊さんは、CEOの抑えた演技から祭りのクライマックまでのグラデが見事でした。江口洋介さん、西田敏行さん、小池栄子さん、柄本明さん、美保純さんの土着感の作り方は凄まじい。プロとしての迫力を感じました。2シーンだけの北野武さんも、さすがの存在感。役者さんの演技を見るだけでも、価値はあると思います。

冒頭の予告編がよく見えた理由がわかりました。力のある豪華キャストの演技の山場を、繋いでいるからですね。
けど1本の映画としてみると、お祭りのシーンしか印象に残りませんでした。すっかり辛口になってしまいましたが、僕みたいに期待しすぎなければ、日本を感じられる良作だと思います。

1.12新宿ピカデリー