医学界で確固たる地位を得る祖父に負けじと、祖父が学んだ名門医科大学の解剖研究セミナーに見事合格した女子学生パウラ。厳しい授業も一生懸命こなしていたパウラだが、ある日、実習の教材として解剖台に横たわる死体がついこの間知り合ったばかりの青年と気づき…というストーリー。
名門医科大学を舞台に、秘密結社による極秘の生体実験の謎に迫るサスペンス・スリラー。「ラン・ローラ・ラン」のフランカ・ポテンテ。
青年の不自然な死に疑問を抱いたパウラは、周囲の警告にも耳を貸さず、死因の究明にあたる。やがて彼女は血を素早く凝固させる違法な薬品プロミダルと医学の発展と研究の為に人体実験を行うアンチ・ヒポクラテス同盟=AAAの存在を突き止める、という内容です。
ドイツ映画で人体解剖と標本が題材というとグロい描写満載なホラーを期待しますが、実際にはグロ描写は少なく、サスペンス色強めの作品ですね。序盤で、麻酔が薄れて意識を取り戻した男が自分が生きたまま解剖されている事に気づくシーンは、あまりハッキリ映さないながら被害者の反応などでグロく感じさせて良いですね。展示されてる人体標本は「人体の不思議展」彷彿します。
大学に向う列車の中で助けた難病の青年の死に不審な物を感じた主人公が調べていくうちに医学の発展の為なら違法な生体実験も行う秘密結社AAAの存在に辿り着きますが、主に拉致した人間を生きたまま解剖しているのは組織に属している学生二人組で、そのうち一人は中盤で正体露になります。こいつが殺した死体の処理に手間取っているときに、人が集まって来てしまっている安置室の扉開けようとする所はハラハラしますが、その後に「何で犯人側に感情移入してドキドキしてんだろ?」と何かおかしくなりました(笑)でも最初こそAAAの理念に沿ってたとはいえ、結局嫉妬がらみのヤンデレ学生の暴挙という感じで収拾付けるのは尻すぼみでした。AAAの「難病で余命いくばくもない人間は生体実験に使っていいけど、学友を嫉妬がらみで殺すのはNG」って考えもおかしいが。
主人公の尊敬していた祖父もAAAに属していたことが明らかになるのは薄々予想は付きましたね。しかし死ぬタイミング妙に良すぎない?組織に消されたかと思ったけど違ったんだな。
フランカ・ポテンテ演じる主人公は勉強真面目に頑張る学生ですが、犯人に脅されたり、周りの学生におかしい奴扱いされ祖父の正体知っても諦めずに真相おう姿は王道主人公って感じで良いですね。ルームメイトのグレーチェンは分かりやすいビッチだけど、主人公に親切だし実は全国1位の成績とるくらい頭いい(男が萎えるので秘密にしてる)っていうギャップも良いですね。いちゃついてて盛り上がってきたところで「○○の部位の切断面は~」とか言って男ガン萎えさせる所笑った(笑)
主人公と親しくなるカスパーは「犯人の片割れかな?」と思いましたが、結構おバカというか危機感無いキャラでしたね。終盤でヤバい状況になってるのに妙に吞気な事言ってるし。
終盤明らかになる犯人の片割れは、まあカスパー以外で犯人ぽいのはちょいちょい出てたこいつだわなという感じでしたね。最後のメスを手に迫りくる犯人との戦いは中々ハラハラさせてくれて楽しめました。結末はアッサリだったけど。
エンドロールの映像はモブキャラだと思ってたあの二人も秘密結社の一員だったという事か。「個人病院の方が色々遊べる」という台詞結構怖いかも。
ゴア描写やホラー感は大したことないですが、サスペンス・スリラーとしてはまずまず楽しめる作品でした。