ひろ

僕と世界の方程式のひろのネタバレレビュー・内容・結末

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

アスペルガー症候群の少年が、数学を通して世界と繋がる物語。
実際にアスペルガー症候群の少年が数学オリンピックで銀メダルを獲得した実話に基づいている。
主人公のネイサンが、心を閉ざすきっかけとなった背景や、数学にだけは興味を持つようになった理由が、アスペルガー症候群に詳しくない人に向けても分かりやすいよう具体的な事象に落とし込まれている。
自分自身、アスペルガー症候群について知識がある訳ではないため、実際の症状にも理由があるのかは知り得ないが、映画としては感情移入しやすい構成になっていた。
ネイサン自身や彼の指導に当たったマーティンが、再び心を開くきっかけを恋愛に置いてしまったため、純粋に数学が持つ魅力が2人を惹きつけた描写が薄れてしまったのは勿体なかった。
数学オリンピックに出場するような数学戦士であるネイサンや、彼を慕うチャンメイが、恋愛を理由に数学オリンピックを途中離脱することは現実的ではないし、あくまで数学に対してだけは真摯である姿勢は崩してほしくなかった。
また、チャンメイを追いかけて行ったネイサンを尻目にマーティンとネイサンの母のジュリーがキスをするシーンは心理描写としても飛んでおり、不要な要素だったと思てしまう。
ただ、全体を通して見れば、ネイサン自身の葛藤や、ジュリーの母としての苦しみ、マーティン自身が抱える数学に対する想いとコンプレックス、そしてそれらを乗り越えた時に溢れ出る感情、などは説得力を持って描けており、最後は感動して泣いてしまった。
愛に溢れる素敵な作品でした。
ひろ

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