とても良い映画でした。
ライトな笑いもあって。
エイサ・バターフィールドが見事な演技で自閉症スペクトラムの少年を演じてました。
あの綺麗な目の色と顔立ちに、『ヒューゴの不思議な発明』の時の面影がまだあります。
自閉症の人がなにか特別な才能を持っていて〜…という映画は少なくないと思います。
この映画でも主人公の少年は数学の天才で数学オリンピックを目指して、その辺も面白かったりします。
しかし、この映画は他のそういった映画とはまたちょっと違ったラスト、いやむしろ一歩進んだ作品だと思いました。
終盤、一見急にトーンダウンしたように見えるかもしれない、ありきたりな展開に見えるかもしれない、しかしそれがどれだけ大事であり尊いことか、それは同じ自閉症であるライバルとの対比でも明確に描かれます。
驚異的な才能があってそれを伸ばすのは確かに素晴らしいこと、逆に言えばその才能だけに価値を見出されてしまったら、じゃあその才能で負けたらなにが残るのか、と。
別の何か、もっと人生を豊かにしてくれるもの、ラストのお母さんとのやりとりにはやはり涙してしまいます。
あの“瞬間”、尊いものを観せてくれたと思いました。
そして序盤のお父さんの言葉からしても最初からずっとこの映画はそういうことを言ってると思います、それをちゃんと本人が“実感できるまでの大変”さも。
終始一貫したテーマをすごく上手く描いた映画だと思いました。