自閉症スペクトラムと診断されたネイサンのキラキラとした成長物語。
とても繊細で美しい物語だった。
吸い込まれるようなブルーの瞳。
その奥に秘めた悲しい経験、そして思う様に表現出来ない自分への苛立ちや思春期特有の危うさが、美しい音楽と共に描き出されていた。
もしかしたら数学という突出した能力を伸ばすことはネイサンにとっての生きる糧になるかもしれない。けれど様々な葛藤の中で見つけたひとつの決断はとても自然で希望に満ちたものだった。
父親の言葉はすんなり入るのに母親とは距離をおく息子。
とかく女性は現実的だから…
母親は生きる術を教え父親は夢の見方を教えるのだろうか?
私も母親のひとりとして、
息子の一番の理解者である父親を亡くしてからのジュリーの苦悩は痛い程に解る。
だからこそ、そっと手を握ってくれたラストでは自分の事のように全てが報われた気がした。