このレビューはネタバレを含みます
難解だが興味深い話だった。人は普通の人、自閉症と区別をしたがるが、そもそも人間はスペクトラムとして二極化出来るわけではない、ということを思い知らされる話だった。彼を自閉症スペクトラムとして区別してしまうが、彼自身スペクトラムの中の一点でしかない。彼が数学オリンピックで優勝していたと描写したならば、確かにサクセスストーリーとしての面白さが生まれるが、彼が途中で退出してしまったことによってさらに物語に深みをもたらせていると思った。お母さんも彼と普通にコミュニケーションをすることに執着しすぎていたのだと思う。彼を自閉症の子供としてではなく、ありのままで受けいれられたから最後のシーンが生まれたのだと思った。