たむこ

僕と世界の方程式のたむこのレビュー・感想・評価

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)
3.0
この作品は良い意味でも悪い意味でも話が淡々と進んでいくような印象です。
「自閉スペクトラム症のネイサン」の「非日常な物語」ではなくて、それぞれの人生に訪れるありふれた、それでもかけがえのない「転機」についてのお話だったように思います。
物語は淡々と進んでいくし、事件らしいものはないですが、第一歩を踏み出そうとするネイサンには親しみを感じずにはいられませんでした。
ネイサンの目に映る台湾の鮮やかな街並みや、繊細な表情からは人生の転機を迎えたネイサンの戸惑いを感じました。そういった細かい表現が素敵な映画でした。
自閉スペクトラム症の天才というと、サヴァン症候群のような飛び抜けた才能のようなイメージでしたが、最近では自閉スペクトラム症の範囲も広く多様に捉えられ、個性として受け入れられつつあるようです。
人間関係で戸惑うネイサンを見ていると、自閉スペクトラム症は障がいではなく、個性であるということがよく伝わりました。
今から6年前の映画なのにすごいなとただただ感心しました。
たむこ

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