酢

センチュリアンの酢のレビュー・感想・評価

センチュリアン(1972年製作の映画)
3.5
どこまでも地に足着いたやるせなさに満ちたビターな一品。小さいエピソードを積み上げる系の構成だったから感情移入し過ぎずに見れたけど、正面から喰らったらヤバかっただろうな。ジョージ・C・スコットは昔気質の仕事人間が、ステイシー・キーチは人生の辛苦に弄ばれる男がよく似合う。ナイスキャスティング。個人的に好きなのはキーチ妻との離縁が決定的になるシーン。女側の黒眼がバカデカくなっていて、「たしかに人が本気でキレてる時の顔ってこうだな」と勝手に納得した。その後傷心キーチが黒人看護婦との愛を育みだすあたりで最悪の結末が頭をよぎらない訳はないのだが、不安を煽っておきつつ一回透かす演出が絶妙に嫌らしい。犯人を取り逃した怒りで車を殴りまくる警官いたでしょ、あれ多分フライシャー的には笑いどころです。そしてクソみたいに非情なEND。これを週末に見たらもう働けないよ……。
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