99分と、コンパクトにまとめてるのに、いろんな感情を残していく作品。
前半は、私の中の吉田監督のイメージそのまま、シュールでほんわか、クスッと笑えるコメディ。
喋り方も含め、ムロくんの気持ち悪さが最高だったし、物語の中央でみんなに巻き込まれていく濱田岳がハマり役すぎる。
そして森田剛。彼が人を殺める時の、快楽殺人でもなく、強い憎しみでもなく、普通のトーンで凶器を手にする「空っぽ」な感じがリアルで、苦しくなった。
怖い怖いと聞いていましたが、想像してたバイオレンス的な怖さではなく、乾き切った人間の怖さを見た。
映画オリジナルのラストは、予想外に涙を引き出されてしまい、やられた、という感じ。いい意味でズルい。犬もズルい。
監督がインタビューで「ラストは俺の優しさが出ちゃったw」なんて言ってましたが、本当にそうでした。
殺人鬼森田ではなく、同級生森田正一が岡田に向けた言葉。
あのラストで一瞬救われた気がしましたが、よく考えたら余計に突き落とされているような気もするし…で、冒頭の感想に戻る（笑）全部踏まえて、もう一度観たい。
