somimi

ヒメアノ〜ルのsomimiのネタバレレビュー・内容・結末

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

恐ろしい映画だった。
ディストラクションベイビーズも人の狂気や暴力を描いた映画ではあったのだけど、単純にエネルギーの振り幅の目安を失った若者にも見ることは出来たし、繰り返されるファイトが生きる意味を探るようにも見えたので、そこから肉体の熱や"生"を感じた。
それに引き換え森田剛演じる森田は、生きながらに死んでいくような、餓死していくような、皮と骨だけでカラカラに乾いた身体から出る狂気が本当におそろしかった。
タガの外れた人間は本当に怖い。
殺しのシーンもそれに伴う森田の行動もとても気持ち悪くて(殺しを行った家で食事をしたり)、
特に女として、女性が被害に合う場面は怖くて背中が冷えた。
唯一森田が生きていると感じたのは、いくつかある包丁で力いっぱい刺す場面だった。

最後は本当にあぁなんでこんな事になってしまったんだろうなという一言に尽きる。
悲しかったな。
人は"事故"さえ起きてしまえば(もしかしたら起きなくとも)誰でも狂人になり得る。
あの2度の「お母さーん」は胸が締め付けられた。
狂人ではなかったはずなのに。

前編は笑いもあって楽しい流れからの森田の狂気の、殺しの独壇場は本当にぐったりした。
岡田とユカの付き合い始めてからのやりとりもとても生々しく、故になかなかイライラした(笑)

本当におかしな人は絶対近づいてはいけないし、自分でどうにかしようとしてはいけないと肝に銘じた。
安藤の入院の場面から、彼女が家に帰る下り(この後森田に襲われる)、自分をストーカーしていた奴が連続殺人犯だと分かっているのにもかかわらず、何故家に帰る⁉︎
これはちょっと平和ボケにしては度が過ぎるのではと思ったけども現実社会というのは意外にこんなものかもしれない。
あとユカの隣人が森田に注意する場面。
あのような場合は、声をかけずに速攻警察を呼びましょう。

笑いと恐怖と狂気と悲しみとちゃんぽんみたいな映画でとても疲れたけれど凄い映画だった。
ディストラクションからのヒメアノ〜ルだったのでしばらくは平和な映画を観たい…



ユカが連れてきた友達の愛ちゃん、彼女は「愛の渦」にも出演していて、その時にも「高度なギャグ」という台詞があったのだけど何か関係があるのかな。
ここはそういった意味で面白かった。
somimi

somimi