このレビューはネタバレを含みます
胸を噛みちぎられる程の切なさが
襲いかかってくるバイオレンスサスペンス。
怪物を作り出すのは誰なのか。
人の道を踏み外すまでの絶望を抱かせたのは誰なのか。
いじめっ子は人をイジメて何を得たいのか。
何に飢えているのか。
狂ってるのは間違いなく森田だ。
けど狂わせたのは善人顔した
物言わぬ多数派かもしれない。
岡田はまともな人間に見える。
実際なんだかんだでそれなりに
上手く世の中を渡っていけるのも岡田みたいな人間だ。
物言わぬ多数派は大抵の場合
裁かれない傷つかない損しない。
世の中を騒がすのはいつもマイノリティーだけれど
世の中の悲劇を生み出すのはいつもマジョリティー。
悪いのはいじめっ子。
狂ってるのは森田。
弱虫は岡田。
岡田を減らせば死ぬほど苦しむ人間も
狂ってしまう人間も今よりは確実に減る。
この作品の主役は一番控えめに映る岡田であり
マジョリティーに対してイエローカードを提示している作品だと思う。
既にイエロー、次はレッド(死)だと言う現実に本気で向き合うか
他人事とスルーするか。