【Netflix配信されたのを機に久々に鑑賞】
気の優しい子が、度を越した酷すぎるいじめに会い、復讐を機に殺人犯に。
暴力の連鎖。
暴力と乾いたユーモアを描くと右に出る者が居ない漫画家、古谷実の漫画を見事に映画化。
濱田岳、ムロツヨシ、駒木根隆介、大竹まこと、個性派役者が並ぶ本作においても、なんと言っても異彩を放っている森田剛。
「この人、本来こんなヤベー奴なんじゃ?」と思わされる程の見事な怪演。
序盤のセックスと暴力を交互に見せる演出。遅めのタイトル表示→突然不穏なトーンに変わる演出。
以降、ラストまで引き込まれ面白いっぱなし(意味わからん)。
ムロツヨシと濱田岳のバカなやりとりの楽しさ。
濱田岳と彼女との「経験人数は何人?」「初体験はいつ?」やりとりの可愛さ。
そのテイストとシリアルキラー森田剛パートとの落差が凄すぎて素晴らしい。
麦茶と飼犬。あの切なさを強調したラストは好みが分かれる所か。
『犯人にもかつては心優しい少年で同情すべき余地がある。それなりの理由が有って悪人となった』と描くか、『全く情状酌量の余地も無い、無機質で無軌道な悪』と描くか、という選択だと思う。
その辺りが黒沢清が描く悪や、「ノーカントリー」のシガーとの違いか(映画評論家の誰かが言ってた事。)。