亘さん

サウスポーの亘さんのレビュー・感想・評価

サウスポー(2015年製作の映画)
2.0
ボクシング映画にハズレ無し!・・・の定説を覆した迷作。
ヘルズ・キッチンの孤児院43戦無敗のチャンピオンが、同じ孤児院で育った妻を亡くし、その後転落して再度チャンピオンを目指すという、めちゃくちゃ良さそうな話なのに、編集がおかしすぎてちっとも面白くなかった。

冒頭のシーンから妻が死ぬまではまだ分かる。その後急に貧乏になる→豪邸を差し押さえ→娘を施設に入れられる→なんだかよくわかんないボロいジムにいる老トレーナーのもとに行く、の流れがザックリしすぎ。そのうえ、トレーニングがびっくりするほど浅い。いくら復帰戦まで6週しかないとはいえ、減量なし、スパー少な目、おまけに裁判まであって集中力なしという酷い描写。大体お前の階級はライトヘビー級なのか何なんだよっていう、計量シーンもないし、肝心の試合シーンがまったく熱くならない。
老トレーナー役のフォレスト・ウィテカーの苦悩もあんまり描かれていないので感情移入が出来ない。主人公が唯一自分が倒された相手のトレーナーだからって言ってたけど、それがどう凄いのか見てる側に伝わらなかった。
ジムに通う子供たちとの関係もサラっとしすぎて、お涙ポイントであるホッピーのエピソード、逆にいる?と思った。

これまで『トレーニング・デイ』『ザ・シューター/極大射程』『エンド・オブ・ホワイトハウス』『イコライザー』とアクション映画と重厚なストーリーに定評があったアントワン・フークア監督だけにすごく残念。
編集であちこちカットしすぎた雰囲気があり、金曜ロードショーを見てるみたいだった。

ここまでボロクソ書いたけど、『ナイトクローラー』で67kgまで減量したジェイク・ギレンホールが88kgまで増量して作り上げた身体は見事だった。特に広背筋と腹斜筋の筋肉のつき方はとても良かった。
『遠い空のむこうに』『ドニーダーゴ』の10代からずっと見てるけど、本当にいい俳優に育ったなぁと思う。※『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』は別として。
亘さん

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