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サウスポーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

サウスポー(2015年製作の映画)
5.0
 誰もが認める無敗の世界ライトヘビー級王者、ビリー・‘ザ・グレート’・ホープ(ジェイク・ギレンホール)は、ボクシングの聖地マディソン・スクエア・ガーデンで行われた試合で強烈な右で逆転KOを決め、脚光を浴びていた。彼の武器は怒りをエネルギーにする過激なスタイルだが、妻と娘の心配は絶えない。
そして、その怒りが引き金となり、最愛の妻の死を招いてしまう。
悲しみに暮れ自暴自棄な生活を送るビリーは、ボクシングにも力が入らず世界チャンピオンの称号を失い、信頼していた仲間、そして娘まで失ってしまう。もはや何もない。
明日の生活にさえ困るどん底の境遇の中、ビリーは第一線を退き古いジムを営むティック(フォレスト・ウィティカー)に救いの手を求める。
彼は、無敗を誇った自分を唯一苦しめたボクサーを育てたトレーナーだった。
「お前にはしばらくグローブを握らせない」「お前の短気は命取りだ」「ボクシングはチェスのようなものだ」
ボロボロの元チャンプ、ビリーへのティックの罵詈雑言。
しかしその言葉には再生のための鍵が隠されていた。やがてビリーは、過去の自分とひたむきに向き合うことで、闇の中に光を見出していく。
「娘を取り戻したい」
ビリーはプライドも名声もかなぐり捨て、父として、ボクサーとして最愛の娘のために自分を変え、再びリングに上ることを決意する。
そして、ティックは復活のための秘策をビリーに授けるのだった…。
元々は「8Mile」の続編としてストーリーを練り上げた映画で、主人公ビリーが怒りを武器に戦うタイプであること、暴力事件をきっかけに娘との絆や名声を無くしかけ、自分の中の怒りと向き合い怒りに走りがちな自分を変え成長し家族との絆を取り戻そうと苦闘したエミネムの実話をあるボクサーの物語として変換。
厳しいハードトレーニングを積み、自分の過去や怒りと向き合い自己破壊的な自分を変え家族との絆を取り戻そうと苦闘するビリーを熱演するジェイク・ギレンホールの魂を込めた演技、プライドを捨てジムの掃除をしながら鍛え直し自分の過去や人生と向き合い怒りが自分を消耗させていたことに気付き苦手なディフェンスと頭脳的な戦い方を学び娘の勉強を手伝ったり成長していくビリーの成長物語、ビリーとティックの傷持つ男の友情、リアリティ溢れる迫力たっぷりのボクシングシーンの数々、エミネムの主題歌も魂を揺さぶる傑作ボクシング映画。
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