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64 ロクヨン 後編のDenkishinoのレビュー・感想・評価

64 ロクヨン 後編(2016年製作の映画)
3.7
この昭和最後の一週間という、元号の感覚は日本人にしかわからないのではと思いますが、どうなのでしょう。昭和天皇崩御の知らせは私も幼いながらに感覚として、時代がひとつ変わるのかという不思議な感じがありました。そこを突いてくる原作には唸るところです。

さて後編ですが、前編観ると後編は気になるだろうと、後編レンタルを待ってから一気見しました。すると、後編開始の最初マスコミとのイザコザが少々クドイですね。前編の泥臭さのクドサは良さとして変換されますが、この流れはちょっとげんなりする部分です。これを越えるとテンポの良いサスペンスの流れが待っています。解決への流れは、前編の佐藤浩市主体の流れから、全登場人物の巧みな絡み合いへと繋がり、その最後も大きな物語の終着点として余韻の残す良いものだと思います。前編の交通事故被害者の老人の半生を語るシーンで、どこかで起こる事件にはそれに関わる人の半生や人生があると強調していましたが、それはこの64事件に絡んだ人物全てにも当てはまるとするならば、納得の行く終着です。しかし、この流れをやはり後編前半のマスコミとの摩擦シーンで、気持ちの面でぶつ切りにされてしまう感じが少々残念かなと感じます。
最近ではとても硬派な警察もの。基盤としての原作が良いというのはあるかもしれませんが、その原作をしっかりと汲んだ脚本と、数多くの役者さんをしっかりと適材適所とても魅力的に効果的に、空気感崩さず撮られた監督は素晴らしい。後編は佐藤浩市よりも緒方直人の演技が光ります。またこういう硬派な人間ドラマが観たい限りです。
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