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ウイークエンドのarchのレビュー・感想・評価

ウイークエンド(1967年製作の映画)
4.0
週末は"終末"に。道端には大量の大破した車が並んでいる。そのイメージは常に本作に付きまとっていく。冒頭の車両同士の小さな衝突から始まり、大渋滞の長回しショットを経て、その変で車両が大破して死体が転がっていることが当たり前になっていく。何故そんな大破のしたのか?が一切分からないが、だが明らかにそこで"事故"はおこったのだという感覚は、高速道路で事故車両にどうしても目を向けてしまう卑しさみたいなものを想起させる。
何故起こったのかを示さない、それは次第にあの世界に何が起こったのかを示さないことと同義になっていく。愛人関係の二人の男女がドライブに出かけた中で、世界は預かり知らぬところで崩壊するというのが、実直な個人と世界の関係性を示しているような気がしている。
「車」はゴダールの代名詞である。『勝手にしやがれ』に始まり、ゴダールの映画は「車」を走らせることで映画を動かしてきた。そんな「車」が大破する。
それはゴダール映画60年代最後の映画であり、初期物語映画への別れである本作にはあまりに象徴的だ。
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