菩薩

モヒカン故郷に帰るの菩薩のレビュー・感想・評価

モヒカン故郷に帰る(2016年製作の映画)
4.3
日本初の総天然色映画、『カルメン故郷に帰る』の現代版パロディ、何て事は当然なく、若干のならず者が帰郷する型こそ一緒だが、その後は監督の手腕が冴えまくる見事な脚本力。泣け、笑え、笑いながら泣け、泣きながら笑える、落としすぎる事もなければ、ふざけすぎる事もない見事な塩梅。父親に柄本明、母親にもたいまさこを配した時点で、正直この映画の勝利は決まったも同然で、後はそれに前田敦子がどれだけ水を差すかだけが懸念事項だったが、言う程気にならず、まぁ若干イラっとはしたけどそれでもまぁ許せる範囲。あら恋池永さんにエンディングで流れる細野さんと音楽的にも完璧。説教くさくなく、(基本的には)先に逝く親と言う存在に、生きている内にどれ程の事をしてやれるかという、人間としての至上命題をさらりと再提示してくれた、沖田監督の人間的な優しさが滲み出るとてもいい作品だと思った。というか冒頭のハードコアバンドのメンバーにテルミンを入れる時点で、沖田監督の人の良さが現れている。所詮邦画なんてと、心のどこかで馬鹿にしている人にこそ観てほしい作品である。とりあえず超ビザ食いたくなる。
菩薩

菩薩