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コンフェッション 友の告白のtakaeのレビュー・感想・評価

3.9
学生の頃から友情で結ばれたインチョル、ミンス、ヒョンテの3人。
過去に起きた"あること"も笑い話のように語られ、大人になった今でも3人の友情は変わらない。

子どもの頃は、性格が違ったってそれぞれの境遇や家庭環境がバラバラだって、ただ気が合えばそれを越えて一緒にいることができたような気がするけど、大人になると仕事や収入、周囲の人間、生活レベル、価値観...様々な違いと向き合うことになり、ただバカなことをして笑い合うことが難しくなってしまうような気がする。

誰にもデメリットが生じずみんなが幸せになる方法。

チュ・ジフン演じるインチョルは、イ・グァンス演じるミンスを誘いあることを計画します。
誰も傷つけず、みんなが笑って生活できるはず...そう信じて行動を起こした2人だけど、事態は思わぬ方向に進み、やがて彼らの手に負えないところまで転がり落ちる。

この止まることのない負の連鎖、とことんまで転がり落ちていく様は見ていてかなり辛かったです。どうにかしようともがけばもがくほど悪い方向に進み、身動きが取れず頭を抱えることしかできなくなる。

このあたりの手加減せずとことん追い詰めていくところは韓国映画の上手いところだなと思います。そして、その苦悩を表現する俳優陣のお芝居が本当に素晴らしかった。

友にしてしまったことへの後悔に苛まれ、それを抱えられずに徐々に生気を失っていく心優しいミンス。彼の真っ白になっていく顔が今でも忘れられません。
そして、同じく罪悪感を抱えながらもそれをエネルギーに変え、何とか事態の収拾を試みようとするインチョル。ジフンはこういう役が本当に上手い。一見チャラいお調子者だけど、友人やその家族への想いは人一倍強いんだよね。

そしてもう1人、当事者のチソン演じるヒョンテ。
彼の苦悩もわかるけど、私は彼に反感を持ってしまった。家族を本当に気にかけていたのは誰?それを思うとヒョンテにはあまり感情移入できませんでした。

友情で結ばれていた3人のそれぞれの選択。
終盤は苦しくて苦しくて涙が止まりませんでした。自分のことよりも友を大切に思い行動したのは本当は誰なのか。タイトルにもある "友の告白"の意味が明かされるラストにその答えがあると思います。

とにかくチュ・ジフンの演技に引っ張られ、最後の最後まで目が離せなかった今作。
「アシュラ」の成り上がりジフンが一番好きだったけど、この作品のジフンもそれに並ぶくらい良かったです(あと「神と共に」も好き)

脚本や構成も良くて本当に面白かった。また好きな韓国映画がひとつ増えました。
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