日本では2014年に1度上映があったきりのようだ。不気味で悲劇的でダークで救いがないドラマ。
ポスターは主要人物のコラージュ画像。
一見バラバラで関係なさそうな5組の主要登場人物たちは何かしら暗い面を持っていて、どこかで繋がっている群像劇。それぞれのストーリーが相互に関連している。

ナチスの強制収容所跡地への学校教育見学へ向かう生徒と教師、フットケア師と老患者、息子に無関心な中年夫婦、ドキュメンタリー作家の女性と変わった趣味を持つ警察官の恋人、自然主義の謎のハンター…
(あのハンター何者だったのかよくわからなかったが、彼も悲惨)

収容所見学ツアーの引率のニッケル先生、ドイツの歴史的過去の罪悪感が強く、生徒にもその考えを説く。
生徒はそこまで真剣に聴いてないようだが、苛めっ子的少年グループとオタク気質の少年少女の行動が後々…あんなことになるとは。

そもそも苛めっ子少年の一人マクシミリアンの両親はドイツ嫌い、オタク気質の少年ドミニクはドイツの歴史に興味なく、老人とフットケア師の関係は不穏な雰囲気を漂わせ…
警察官として本当の自分を偽っているトムは、その制服の代わりにアレを着ている。そういう趣味ってあるんだな。CMディレクターである恋人はそれを知るよしもなかったが…。

行く末がはっきり描かれる人と描かれない人がいる。
ドミニクがあまりに悲惨だった。
あれは本当に不条理で運がないとしか言いようがないのではないか。
ニッケル先生もかなり鼻につくが、それ以上の酷い仕打ちを受けていた。「偽りなき者」みたいなことになってて悲惨。
苛めっ子のマクシミリアンがやったことが最低で胸糞なのに彼だけが終始飄々として前よりハッピーになっているのも何かの示唆だったりして。
とにかく端から見ていると「そりゃないぜ…」の連発。

いろいろとモヤモヤして胸糞でもあるんだけど、まあとにかくドイツ人が罪悪感に必要以上に囚われているドイツを刺々しく痛烈に非難しているように見えてくる。

タイトルはどういう意味があるのか？と思ったら、Finsterはドイツ語で「暗い」「闇」の意味で、かつ、監督の名前Finsterwalder(フラウケ・フィンスターヴァルダーFrauke Finsterwalder)を文字ったものらしい。なるほどね。

ドラマ

• #撮影MarkusFörderer
• #音楽MichaelaMelian
• #編集AndreasMenn
• #衣装CharlotteSawatzki

日本で売ってるかなー、この映画？僕が大好きな作家のChristian Krachtさん（ファーザーランド）が台本を書いたダークコメディーだ。現代ドイツ映画の珍しいくらい面白い作品。ドイツと関係がない日本人も理解できるか、わからないけどね。