さわら

ラ・ラ・ランドのさわらのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0
今というのは、選び取らなかった人生の総体だ。「あぁすればよかった」「こうなりたかった」という夢。そもそも映画時間こそが目を開けたままみる夢時間そのものであり、そう思うと映画を愛した・映画に愛された、なんて幸せな映画だろうと思った。

オープニングから30分ぐらいがほんとに良くて、ググッと一気に引き込まれる。オープニングほぼ切れ目なく続くハイウェイでの奇跡、青緑赤黄のドレスを着て夜の街を闊歩する、持たざる女の多幸感にあふれるダンス。こんなワクワクさせられることもない。

しかし、2人の出会いからトーンは一気にさがりかなりスローテンポに。斬新さも感じられず、規定的展開の上書きにしか感じられなかった(彼氏&ブルジョワ兄貴が「映画館で映画なんて観る気になれない」という言葉から映画館へ駆け出すミアに大ハグしたかったけども)。残り30分で映画が息を吹き返すが時すでに遅し。
あと音楽どうこうに明るくないけれど、そんなにいいとは思えなかった。鑑賞後「バンドシーンの音楽が一番よかった」と語る若カップルがいて、それは本作ではかなり致命的では?それとセブがジャズの魅力を語るシーンがあるんだけど、そこのダサさたるや。言わんとすることはわかるが、言葉にしてしまうことの軽薄さよ。

とはいえ、エマ・ストーンがダンスも歌も、ところどころみせる仕草諸々クソ良くて10時間彼女を見れるな、いや見たいなと思った。ゴズリングは喋らないほうがいい。レフン『ドライヴ』の素晴らしさを再確認できました。

真面目にレビューを書いた僕にも祝杯を。