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ラ・ラ・ランドのayのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あえてほとんど情報を入れずに鑑賞

なんとなく、往年のミュージカル映画の復権を目指した作品なのかとイメージしていたし、最初にシネマスコープがどでかくアピールされた時は、「おお! ミュージカル映画が蘇るのだなあ」と思った
しかししばらく観ていると、どこか統一感の無さを感じた 『セッション』のような、すっきり余分な肉をそぎ落としたいい意味でのコンパクトさを感じなかったのだ その原因はおそらく、時代感のブレにあるのではないか 50年代、60年代の黄金期のミュージカルを意識しているのかと思えば、突然80年代のサウンドがぶち込まれ、そう思っていたら『セッション』ばりのモダンなスタイリッシュさ また様々な作品の引用と思われるシーンがいくつも登場するが(そこまで映画が観れていないのでどこが何かは指摘出来ないけど…)、その引用が必然なのかどうなのか微妙なのだ

しかし、途中で気付く、この作品はまさに監督が la-la land つまり自分の世界に入りきって作り上げた作品なのだと
プラネタリウムで宇宙に飛んでいくシーンを観て、ああこの監督は、このシーンが撮りたくて仕方なかったんだ!と感じた そのための『理由なき反抗』なのだ 強引だろうが関係ない これが映画だと言わんばかりの勢いにやられてしまった

監督の愛する映画への思いをぶつけるべく、俺が全部撮ってやる!と言わんばかりの映像、そこに妥協は一切ない 長回しなんて文字通り狂気か!というレベル(良いところでカットがかかってしまいがちなのが残念だが)

作品のテーマでもある夢を追うもの狂気と犠牲は、まさに監督本人の経験ともリンクしているのだろう だから、少々掘り下げが浅めで薄味な人間ドラマにも切なさと共にどこかリアリティーがある

そしてラスト あまりにも切ない これが夢を追うものの犠牲なのだろうか、悲しすぎる そして美しすぎる ラスト10分には間違いなく映画の魔法がかかっている 『めまい』や『ウエストサイド物語』を思わせる背景の変化からの2人のもしもの世界は、美しくも悲しい この映像を観るためにこの映画を観ていたのかもしれない (『セッション』でも思ったが監督はラストの作り方、収束のさせ方がとても上手いな) しかし監督は言う、「これは決して夢ではないのだ」と 狂気である それでも狂気こそが、何かを変えることもある

映画を批評するサイドの人にとっては突っ込みどころがたくさんあるのだろうしそれも納得できる
一方で、自分の撮ろう!とする作品を一切の妥協なく撮りきって生まれたこの作品は、映画のみならず何かを作ろうとするものに強い印象を与えずにはいられない そして監督こそが夢をつかんだ狂気の夢追い人の1人なのだ
また、21世紀に少しの'照れ'もなくミュージカルを堂々と撮った事に意味があるのだろう

なんだか文章にまとまりがなくなってきた 私も今 in la-la land 夢見心地なのかもしれない
(ちなみにこの映画の3%くらいは『セッション』なのでみんな予習してみましょう笑)
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