こたつむり

ラ・ラ・ランドのこたつむりのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.3
打上げ花火だと思っていたら…線香花火だった作品。

アカデミー賞史上最多14ノミネート。
そして、結果としては6部門受賞。
いやぁ。春先は盛り上がっていましたよねえ。
自分は劇場に行く機会が無かったのでハンカチを噛む日々でしたよ。

だから、レンタル開始になって。
「ようやく鑑賞!」と鼻息荒く臨んだのですが…。んー。期待しすぎたのでしょうか。ちょっと辛辣な言葉を重ねたくなる…そんな作品でした。

確かに僕はミュージカルが苦手です。
特に“感情を強制する”部分が苦手なのです。
気持ちが盛り上がっていないのに「泣け」「笑え」と指示を出されているかのようで、思わず仰け反りたくなるほどに反発しちゃうのです。

勿論、音楽の相性もありますよね。
『雨に唄えば』のように親しみやすい楽曲だと抵抗なく入り込めますし。やはり、音楽の相性は人それぞれ。流行歌が好きな人もいれば、マイナーな楽曲が好きな人もいるのですよ。

だから、本作で言えば。
巷では評判が良いオープニングも、自分の気持ちが盛り上がる前から歌いだしたり踊りだしたり…。「んー。技術はスゴいねえ」なんて醒めていましたね。もしかしたら、「よーし、ミュージカルを楽しむぞー」という“ノリの良さ”が必要だったのでしょうか。

でも、全体で言えば。
テーマは理解していますし、音楽の相性が良い部分は前のめりでしたし、主人公たちの考え方も納得できますし、「ほほう」と唸る場面もありますし、心に残る“風景”もあるのですよ。うん。完全にダメではないのです。

ただ、それでも、違和感が残るのは、物語の軸が琴線に触れてこなかったから…だと思います。つまり、出来の良いロボットが演じているように台詞や行動に“血”が流れていない気がしたのです。これを「相性」の一言で片づけてしまうのは、とても残念なのですが…でも、琴線に触れた人にとっては、鼻血が出るほどに最高の物語なのでしょうから…。あー。残念。

まあ、そんなわけで。
自分にとっては肩透かし。凡庸な作品でした。
これが完成度の低い駄作だったら…逆に“良い部分”を一生懸命に探していたかもしれないのですが…。中途半端に消化不良な作品が一番厳しいことを書いてしまいますね…。
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