このレビューはネタバレを含みます
【夢を追うということ】
※さぁ、次はこの話題作です。自分は、劇場で二回、家やスマホで五回以上は見返してました。「セッション」では、二人の男が、音楽を追いかける姿がえがかれましたが、本作では果たして監督は、ミュージカルを通して、何を伝えたかったのでしょう。↓
※なお、「セッション」で自分が掲げたテーマは忘れてください。すみません。
(ネタバレありですが、あえて伏せません。このレビューを踏まえてご鑑賞下さい)
「夢を見ていた…」……本作のポスターや予告編なんかで、よく発してたメッセージだが、そのメッセージこそ、観ている我々と重ねて伝えることが出来る、最高のメッセージなのではないだろうか。
改めて、TVで観させていただくと、本作がなぜ[傑作]と言われるのかが、よく分かる。
冒頭、[高速道路]で数珠繋ぎのように渋滞している中で、音楽が始まる。伝説のオープニングと言える、このシーンだが、僕はこのシーンがまさに、主人公の[ミア、セバスチャン]の夢物語の始まりを告げていたのだと思う。
そしてシーンが終わる直後から、まるで[現実に引き戻される]ように、まずミアの話から始まる。ミアは、映画の[オーディション]が全然上手くいってなくて、人生が全く楽しめなくなっているようだ。そして、ルームメイトに誘われ、パーティに行くが、男がいないミアにとっては地獄でしかない。
夢を追いかけ続ける女性にとっての、[痛い犠牲]が描かれてる。
そしてパーティを後にしたミアが暫く街を歩いていた矢先、[ピアノ]の音楽が聞こえるバーで立ち止まる。
そして、[運命の出会い]が始まった…。
一方、[セバスチャン]は、[ジャズ]で有名になりたいと願っている。だが、彼が[高すぎる夢]を持っているせいで、周りには[認めてもらえない]。先程言ったバーで、店主にいやいや命令されながら、ピアノを演奏する。だが、周りの客は彼の演奏を観ず、おかず代わりに聴くだけ。そして、セバスチャンがあの[音楽]を弾いた瞬間、
運命の出会いが始まる…。
二人はやがて、様々な[共通点]から付き合う事になるが、互いにまだ実質的には噛み合ってないように見える。
夢を追ってる二人通しが、付き合ってるからこそ起こりえる非常事態で、その様子が分かる。
出会い…互いに惹かれ…付き合う…相手側の成功…片方のドン底…亀裂…この作品は、夢を追いかける者同士が付き合う事で起こりえる、[失敗]というものをミュージカルで描いてる。ハッピーエンドとは言えないのが普通だし、ミュージカルでは有り得ないテーマだが、監督はこの流れを、二人が成功するために犠牲に
なったものではあるが、それをどう[活力にしていくのか]をえがいており、またその[成功例]として、描いている。
これは、[ミアを支えた人]の物語なんだと…。
ラストシーンと共に、それが僕にもやっと見えてきて、幸福感でいっぱいであった。
夢を追いかける人達にとって、[大切なメッセージ]になった映画なのだとわかりました。
それを、監督は伝えたかったのかもしれない…。