Aimi

LION ライオン 25年目のただいまのAimiのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

実話を元に作られたこの作品は、最後の最後で、彼らのとある場面の実映像をスクリーンに映してくれる。
その映像を観た時、それまで流れなかった涙が堰を切ったように流れだした。

この作品は年間8万人以上の子どもが行方不明になるというインドの闇の部分を伝えながらも、親、子、兄弟、恋人、というそれぞれの立場での互いへの愛情をとても切実に描いている。

貧しいながらも我が子たちへの愛情を一心に注いでいた母
幼い弟と妹、母。家族を優しく支えていた兄
不幸な子を救おうと、そんな彼らを絶対的な愛情で育てた母と父
不安や心配を抱えながらも側にいた恋人
さらにいうなら不幸な子どもたちを救うことを仕事としていた彼女たちや、親子の再会に暖かな拍手を送った村の人々まで。
不幸な立場にある者をさらに不幸な道へと誘おうとする者がいる一方で、こんなにも愛情に溢れる者たちがいる。

実の家族と育った家族の狭間に立ちながら彷徨ったサルー。25年間彷徨い続け、その点と点の距離が縮まり、その間にしっかりと線が引かれる過程で彼の周りに在る愛情を感じさせるエピソードが散りばめられている。
実の母と育ての母。その点と点を繋ぐ上で、これは互いの母への裏切りなのではと最後まで葛藤していた彼だったが、その葛藤も杞憂であったこともそれぞれの母から語られる。むしろ私にはここが一番の泣き所で、両者が笑顔で涙しながら互いをしっかりと抱きしめあっていた場面には涙が止まらなかった。
息子を育ててくれてありがとう。
息子を生んでくれてありがとう。彼に会えてよかった。無事でよかった。
母として、1人の人間として、海よりも深い愛を感じずにはいられなかった。
Aimi

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