三四郎

風の慕情の三四郎のレビュー・感想・評価

風の慕情(1970年製作の映画)
3.3
クサイ芝居にクサイ科白…でも、中村登監督だもの、安心して見られる。
ミステリー仕立てで展開していくので、それなりに、最後はどうなるのだろう?と緊張感はある。
戦時中、マニラで逃げる際に両親と離れ離れになった戦争孤児の悲しい物語。
5歳で心を閉ざした女性…。彼女の楽しかった思い出は、4歳までの、両親と暮らした頃の記憶だけ。女の子一人が異国の地で生きていくには、辛いことの方が多かっただろう。
最後の石坂浩二の語りが良かった。この映画をそれなりの作品にしたのは、吉永小百合ではなく石坂浩二の語りだと言える。
恋人からプロポーズを受けながらも結婚を迷い、会ったことのない姉が住んでいるというオーストラリアへ来てみた吉永小百合に言う言葉。
「明日は…お別れだね。帰ったら結婚が待ってるんだろ?君の持ってる愛情を大切にするんだ。一握りの愛さえ知らずに死んでしまったあの人のことを思えば、迷うなんて贅沢だ!…贅沢だよ」
なんでもない愛情が、女にとってどんなに、どんなにかけがえのないものなのか…と気づく吉永小百合であった。
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