FIXの画面＋長回し+シンメトリックな構図なのは他のモンテイロ作と変わらず。だが、全く意味不明だった！　冒頭のセルジュ・ダネーの夢である「北極でジョンウェインが腰降ってる夢を見た」を最後まで引っ張っただけの映画w

その夢にインスパイアされた俳優たちが延々と妄想チックな演劇を繰り広げるのだ。途中で、堂々と画面に自らのチンコを晒しながら放尿するモンテイロがなかなか狂っている。インテリすぎて頭おかしくなっちゃった人の典型例。ストローブ＝ユイレに捧げられている。

冒頭の劇のｼｰﾝでの、自ら神役を演じる傲慢さが凄い。ちなみにそのｼｰﾝで、奈落の底から無数の風船が浮き上がってくるｼｰﾝがあるが、あそこはこの映画のハイライトの一つ。

あと、好きなｼｰﾝは、あの傘を使ったｶｯﾄ。大人二人が丸丸かさに隠れる。それと、モンテイロの映画では人物が飛び降りる動作が多くて、この映画でもいくつか見られた。ヴェルディ聞いて興奮して窓から飛び降りるｼｰﾝにはフイた。

モンテイロの中でも最も難解な構造を取ってはいるものだと思うが、リヴェット的に現実と胡散臭い妄想を行き交いつつ、しかしリヴェット以上に詩的さをモンテイロに感じるとすれば、それはポルトガルのロケーションとも相まってノスタルジーの色合いが確かに感じられることだと思う。

過去鑑賞作品